私の今の人生の立場からするとそれほどこのような選択をする機会がなくて普通の人生を送っているわけですけど、グループソウルの記憶を辿ると、正義の御旗を忘れた場合は魂の記憶に深く「後悔」そして「恥」として刻まれるように思います。
この種のお話は、現代に生きていますと個としての欲望を正当化するような論調で生きていますけど、そのような場合においても、個人の利益を優先してしまうと数百年、あるいはもっとそれ以上の長い間に渡って後悔という魂の記憶に刻まれることになります。
まあ、この辺りは個人差もあるでしょうし、欲望が良しと本当に思っている人はもしかしたら後悔など全くしないのかもしれませんけど、少なくとも私が知っている範囲であれば個人の欲望に基づく行動には後悔がつきまとっていたように思います。
数百年前、パリの小さな商店兼酒場の店主をしていた時の記憶がグループソウルの中にあります。グループソウルのお話ですので私の直接的な過去生ではないのですけど、グループソウルに共有される記憶として残っているわけです。
そのお話によると、時はパリのフランス革命前夜。物価は少しずつ上昇し、人々は街に出て王政への批判を繰り返していました。店主をしていた彼もそのような状況下にいたのですけど、店主をしているということは一般庶民より少しは金銭的に余裕があって、周囲の人々に比べるとそこまで革命に熱があったわけではないように思います。
仲の良いお客が街に出て王政や今後について話をして、そうして王政への批判が高まって革命へと至ったわけですけど、実のところ、その背後には、商品のインフレと賃金の据え置きによる日常生活の基盤の揺らぎがありました。
日々、少しずつ物価は高騰していたわけですけど、とある時から、物価の上昇が更に急激になりました。
元々の物価上昇は町の外から仕入れてきている問屋の卸値価格が上昇していることが基本的な原因で、それはある程度は仕方がないこととして捉えられていました。
そうするうちに、町の商人の間で、もう少し利益を上乗せして我々の利益を確保しなければ商売が危うい、というお話になったのです。それはある程度は当然のことではありましたけど、ここで、商人は、適正と思われるよりも更に値段を上乗せして自分達の保身を優先しました。そして、その保身を積極的に進めて商人たちの話をまとめたのが彼だったわけです。
そのことにより、パリの一般雑貨の金額は更に高騰し、一般庶民を苦しめました。そのことが、もちろんそれだけではありませんが、パリのフランス革命の一旦になったように思います。一般大衆は、食べるという基本的なことが脅かされると反動が出るものです。
この時、彼は自分の個人的な利益を優先して、パリの人々に食事を与えるという使命よりも優先させてしまいました。それは保身でもあり、商人としては正しい姿ではありましたが、パリの人々を苦しめることになったのです。
更に辿ると、その彼はその前世で数学者と教育者として生きており随分と金銭について苦しんだらしく、パリの商人の人生においてはその反動が出てしまったということではありますが、それはあるにしても、実際にパリの人々を物価高騰で食糧難にして苦しめたということは魂の記憶に深く刻まれているわけです。
こうして、グループソウルの過去の記憶を辿って思うことは、正義の御旗は忘れてはならない、ということです。それは反省でもあって、今世においてもそういう反省は多々あるわけですけど、その反省はその時の一代限りで終わるものではなくて、時に、長い間、ずっと保持されるものなわけです。
ちなみに、フランス革命の背後の商人のお話は史実をそれほど調べたわけではありませんので本当のことかはわかりませんが、商人の間で結託があったという噂はあるようです。