ヨーガではエネルギーの通り道、いわゆる経絡のようなものをナディと呼んでおりますが、これら3つは主要なものです。
以下はヨーガ行者の本山博先生の書籍に載っている図です。「密教ヨーガ(本山博 著)」より
このように、スシュムナは背骨に沿っていて、イダとピンガラはそれら周囲を螺旋状に回っています。イダが左、ピンガラが右です。
これがヨーガにおける通説だと思います。
■クンダリーニの比喩
インドのリシケシにあるヨガニケタンを創設したスワミ・ヨーゲシヴァラナンダによると、以下のように記されています。
脊髄は、中空の管のようになっており、その一般的な形は蛇のような形をしていると言って良いでしょう。ですから、脊髄中にある光り輝く微細な導管が、比喩としてクンダリニーという名前で呼ばれているとも言えるわけです。「魂の科学(スワミ・ヨーゲシヴァラナンダ著)」
体の左右にそれぞれスシュムナを図示したものが描かれています。右に描かれている2番が実際にスワミが霊視したもので、左に描かれている3番が通説でヨーギに伝えられているものです。そこに類似性を見て取れます。
■イダとピンガラの比喩
イダとピンガラは上図の通りグルグルと螺旋状に回っているとのことですが、私は自分の経験として螺旋状のものを認識できておりません。
と、言いますか、ちょうど1年くらい前に経験したクンダリーニっぽい経験ですが、どうもこれはクンダリーニではなくイダとピンガラの目覚めだったのではないかと最近思うようになってきました。
鍵になるのは、当時の記事にある以下の部分です。
腰あたりに2つの小さなエネルギーが発生し、左右それぞれ1本づつ光のエネルギーの光線が腰から目の上の頭蓋骨あたりに向けて2〜3秒かけて真っ直ぐ上昇し、頭蓋骨に当たってちょっと曲がったところで停止。そのまま10秒ほどエネルギーの筋はそのまま保っていたのですが、やがてエネルギーが消えてゆきました。(過去記事より引用)
こう思うようになったのは、上と同じスワミ・ヨーゲシヴァラナンダによる記載です。
■イダとピンガラは直線
スワミ・ヨーゲシヴァラナンダは以下のような図を示しています。「魂の科学(スワミ・ヨーゲシヴァラナンダ著)」より
スワミは、同書でスシュムナのことは多く記載しておりますが、イダとピンガラが螺旋だとか真っ直ぐだとか、そのあたりに関する記述は見つかりません。スワミは自分の記載は実際に瞑想して霊視したものだと言っておりますので、この図も正確な筈です。それとも、本当はグルグルとスシュムナの周りを回っているのにも関わらずこのような真っ直ぐな図を描いたのでしょうか? そうは思えません。であれば、イダとピンガラは真っ直ぐだ、というのがスワミの主張のような気が致します。
であれば、私の違和感もなくなります。
約1年前にあったクンダリーニっぽい経験ですが、1本ではなく2本の光の筋が「真っ直ぐ」登ったので、これがクンダリーニなのかイダなのかピンガラなのかはっきりと判別できずにいました。
このスワミ・ヨーゲシヴァラナンダの記述が正しいのであれば、私の約1年前の経験はスシュムナではなくイダとピンガラが目覚めたのだ、と解釈できます。
このあたり、以前に少しSwami Satyananda Saraswatiの言及を引用しました。同氏のKundalini Tantraによると、スシュムナからクンダリーニを上げることが通例のようになっているけれども、古典には必ずしもスシュムナから上げる必要はないと記載しており、ピンガラからは外部に働きかける力を得て、イダは魔女のような透視能力、スシュムナは生きながらの解脱を得る、と書いてあります。
私は今のところそんなすごい変化はまだありませんけど、以前よりも自分の状態に納得がいった感じです。
その後、真っ直ぐ中央を駆け上るようなクンダリーニ上昇は経験しておりませんけれども、オーラの優勢は上の方に少しずつ変わってきておりますので、私の場合、スシュムナは少しずつ活性化してきているのかなぁ、と思っております。
■スシュムナから目覚める人と、イダとピンガラから目覚める人がいる?
以前引用したゴーピ・クリシュナによるクンダリニー体験ですが、彼はどうやらピンガラから最初上げて死にそうになったようです。
ヨーギの中にはイダとピンガラより前にいきなりスシュムナから上げる人がいて、だからイダとピンガラに関する記述が少ないのかなぁ... という気がしました。そうであれば納得がいきます。
私の場合、おそらくはイダとピンガラを同時に活性化したのでおかしくならなかったのだと思います。もともと私の内なるガイドから説明があって、いきなりスシュムナを活性化させると不安定になるのでこの方法でやるよ、とのお話でしたので、それはこういうことだったのか、とようやく納得できました。内なるガイドの案内なしにイダとピンガラどちらからか活性化させていたらおかしくなっていたかもしれませんし、いきなりスシュムナを活性化させたら、それこそ危険だったような気が致します。
その上で、おそらくはスシュムナが目覚めればイダとピンガラも(少しずつ)目覚めるし、イダとピンガラが目覚めれば(少しずつ)スシュムナも目覚めるのかな、と思います。そんな気がしています。
であれば、私の場合はまずイダとピンガラが目覚めた後、少しずつスシュムナが目覚めてきているのかなと思います。
■スシュムナ、イダ、ピンガラ、いずれも真っ直ぐだが、行法あるいはエネルギー操作の方法として「回転」がある
そういうことかな? という気も致します。
■スシュムナの先は螺旋状になっている
スワミ・ヨーゲシヴァラナンダは以下のように記載しております。
クンダリニーは(中略)ちょうど蛇のように男根状のものの回りを三巻半しながら、全体が貝殻のような形となって眠っております。「魂の科学(スワミ・ヨーゲシヴァラナンダ著)」
このことは通説でも多くのヨーギが言っておりますが、スワミ・ヨーゲシヴァラナンダが言うのですから、それはそうなのでしょう。
であれば、イダとピンガラがグルグルと回っていると言う通説は間違いであるが、クンダリーニが螺旋状に蛇のように眠っている、と言うのは正しいのだと思います。
だから、ヨーガのクンダリーニ覚醒行法で螺旋状の動きが重要になってくるのかな、と思います。
きっと、その行法がごっちゃになってイダとピンガラが回転しているかのような誤解が生まれたのかな... という気も致します。
まあ、仮説ですけどね。
■時系列
以前に書いたものを少し修正しておきます。
- 2015年1月 インドのアシュラムで生まれて初めてのヨガ 2週間 合宿。その後しばらくブランク。
- 2016年10月 日本の近所でヨガ再開。1週間ごと1回90分
- 2017年8月 ヨガの頻度を上げ、ほぼ毎日90分
- 2017年10月 雑念が減ってくる。ようやくヨガをしている感じになってくる。ヘッドスタンドが短時間だがようやくできるようになる。
- 2017年11月 ナーダ音が聞こえ始める。ヨガをほぼ毎日し始めてから約3ヶ月後
- 2018年1月 第1回目のクンダリーニ体験。ムーラダーラの電気ショックと眉間の皮膚から数センチ離れた空中(アジナ・チャクラ?)でのエネルギーの爆発。ほんの少しのエネルギー。
- 2018年11月 イダとピンガラの目覚め(第2回目のクンダリーニ体験)。マニプラ優勢になる。クンダリーニ本体はまだ上がっていない雰囲気。2つの光の筋が上がっただけ。仙骨か尾骨のあたりに熱を帯びて血液が激しく脈打つ。かなりポジティブになる。性欲がかなり解消されて自然な(努力のいらない)ブランマチャリア(禁欲、ブラフマチャリア)の達成(性欲10分の1)。睡眠時間の短縮。声が出しやすくなる。
- 2019年7月 第3回目のクンダリーニ経験。アナハタ優勢になる。(五大要素の)「風(Air)」のエネルギーによる竜巻が腰から頭まで上昇。光の筋はなし。竜巻は頭の周囲で発散(頭上および前後左右に発散)。うなじの下(大椎?)に少しの熱を帯びて血液が脈打つ。ハートがジンジン。第2回目ほどの変化はなし。性欲が更に10分の1 (第2回目クンダリーニ以前と比べると100分の1)
- 2019年9月 ムーラダーラの活性化。 足の気力が少し増加。足の感覚が少し敏感になる。手の感覚も足ほどではないが少し敏感になる。「におい」に敏感になる。「におい」だけで「味」も感じるようになる。淀んだ空気(の匂い?)が苦手になる。いわゆるグラウンディングの力が若干上昇。他人の淀んだオーラによる自分への悪影響が低下し、自立力が高まる。優勢なのは依然としてアナハタ。