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単価が安すぎるIT受注開発

2017-08-25
トピック: IT業界

私がもともとやっていた15年前はこれほど酷くはなかったが、最近は単価が安すぎて、見積もり依頼が来ても見送ることが多いように思える。
例えば、新規ポータルを立ち上げる仕事があるとして、その希望金額は良くて100万円。酷い時には10万円などという時がある。これでは1ヶ月以内に終わらせられるような「パッケージ」の仕事しかできないのだが、実際は独自性をたっぷりと組み込む必要があるので到底それでは終わらない。色々と改造していけば数ヶ月にもなるだろうが、この種の仕事ではスコープがしっかりと定義されていないことが多いのでダラダラと仕事が続くことになる。最低でも数百万は出すつもりの発注者でないと新規事業は受けられない。
そんなこんなで、こんな条件の悪い仕事を受ける人がいるのだろうかと思っていると、しっかりとその値段で仕事をする人が現れる。一体、どこのどんな人がそんな値段で受けるのだろう... と、こちらが心配になってしまうほどだ。
IT業界のマーケットは現在非常に悪い。私が1年前に起業した時はそれほど悲観的には思っていなかったが、今のマーケットは最悪ということがわかった。このような市場ではITの仕事を受ける人は次第に減ってゆく。私にしても、上記のような単価では相手にしていられない。やっていられない、というのが正直なところだ。
同じような仕事で最低300万円、作業に応じて1000万円、という予算であればチャレンジもするが、新規事業のポータルを独自で立ち上げて100万円だと安すぎる。

別の案件だと、アプリケーション関連でWebとiOSとAndroid全てに機能追加及び不具合修正、それにリファクタリングまで要求して1ヶ月15万円という冗談のような案件もあった。技術料が0円で誰にでもできる仕事ならともかく、WebにしろiOSにしろAndroidにせよ専門知識がないとできない仕事でこの値段はありえない。

業界外の人にはよくわからないかもしれないので例をあげると、家を立てる予算が100万円で工務店に行ったら大方は追い返されるか丁寧に断られるのがオチだろう。そこで客がキレて無理やり作らせようとしたら大げんかになるし、客が工務店に対してプロとしての対応を求めたのならば常識知らずで相手にされない筈だ。例えばそれが500万円の家だとしたら客の方が工務店に対して理解を示したり自分で十分に勉強をして工務店の負担が減るように協力する筈だ。

しかし、IT業界では激安で家を建てさせようとしておきながら勉強もせずに丸投げして、挙げ句の果てにはキレて無理やりものを作らせるようなブラック発注者がうようよしている。

私が若かったら絶対にこのようなマーケット状態のIT業界を目指すことはないだろう。
若い人には、こんな殺伐としたIT業界に関わってほしくはないと思うので若い人がIT業界を目指さなくなったのは良いことだと思う。
一方で、自社でITを使ったサービスを立ち上げるのは若い人にもどんどんとやって行ってもらえればいいと思っている。これはIT受注開発とは全く異なり、サービスを世の中に提供することなので健全なことだ。

将来予想でIT技術者が不足すると言われているが、それは単に、安い金額で発注したい発注側と、安い金額の発注は相手にしたくない受注側とでミスマッチが起こっているだけのような気もするのだ。安い金額で発注すると何が起こるかというと、本来しなくてはいけないプロジェクト管理や設計をあえて省略し、金額内でできるものを作る。結果としてできが悪いものが納品されるが、発注者はその良し悪しもわからない。後になって設計や実装の不具合が出てくるのがオチだ。ベテランは昔のマーケットを知っているので昨今の悪いマーケットでは仕事にならないと感じ、ベテランは去ってゆく。一方で、素人のITエンジニア参入が増えてゆく。
安い金額のプロジェクトほど発注側にも素人率が増え、結果としてトラブルは多くなり、両者の負担も増える。いわゆるデスマーチが頻発する。前にも書いたようなブラックな発注者の割合も増える。

どんどんと人員がIT業界から離れて行った方が業界が健全になる筈なので、若い人はそんなIT業界に近づかない方が良いし、年を取ったベテランも潮時と心得てIT業界から離れたらいいと思う。

ITエンジニアは途轍もなく頭を使う仕事でIQが低い人はできない仕事であるのに、実際のところ一般職の事務員と変わらないか時給換算で考えるとはるかに低い給与で働いている人も多く、使っている頭とその給与とのバランスが取れていない。

言ってしまっては反発もあるかもしれないが、日本の技術者の給与は一部のインド人にも負けている。よくニュースになるマイクロソフトやGoogleの話ではなく、そこらへんにある普通のIT企業に負けている。もちろんインドは貧富の差が激しいのはご存知の通りだが、私はインドに住んでいたのでこのあたりはよくわかる。

日本人が日本でコストパフォーマンスを考えて働くならば、プログラミングが好きだとしてもプログラミングなどわからないふりをして事務員として働いた方がコスパが良いのが現状だ。

実際のところ、ブラックIT開発会社で働くくらいならそこらの訳のわからん事務員でバイトするか、あるいは、もっと極端なことを言うならばコンビニバイトの方が気楽な分マシかもしれないとさえ思ってしまう。在籍分の時給は一応出る訳だし。体をあまり動かさないから不健康になることを考えれば、建築業界とかでバイトや日雇いした方が体を動かしてサバサバしていて健康的な分、そっちの方が向いている人もいるだろう。体を動かす業界からすれば部屋の中のオフィス仕事の方がマシと思う人もいるかもしれないが、人格を否定する罵声が飛び交うブラックIT開発会社で心を病むよりマシかもしれない。

もう日本のIT業界は終わった、という感がある。



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